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2006年10月24日 (火)

作家の力量

文庫版 姑獲鳥の夏

文庫版 姑獲鳥の夏

京極夏彦さんのシリーズ5作目「絡新婦(じょろうぐも)の理」が名作だと聞き、ただ、これを理解するためには、1作目と2作目を読まないといけないという書評を読んだので、まずは1作目の本作を読んでみました。

もともとミステリー小説はほとんど読まないので、実はそれほど期待していなかったのですが、これは非常にお勧めです。

本書はミステリー小説ではありますが、著者の想いというか、主題がはっきりとしていて、本書の場合は、

「差別の克服」

と言えるかと思います。

あまり詳しく述べるとネタバレになってしまうので言えませんが、「差別の克服」ということについての著者の強い想いを感じました。

その一方で、本シリーズを通しての主題のようなものもあり、それを端的に示している主人公(京極堂)の言葉があるので、引用してみます(612頁)。

世界はいつも、何があろうと変わらず運行している。個人の脳が自分に都合良く日常だ、非日常だと線を引いているに過ぎないのだ。いつ何が起ころうと当たり前だし、何もおきなくても当たり前だ。なるようになっているだけだ。この世に不思議なことなど何もないのだ

他の作品を読んでいないので単なる推測ですが、主人公の京極堂の基本的な物の考え方を表している言葉なので、これがおそらく、このシリーズを通しての主題(及びトリックの構造)かと思います。

この作家は相当すごいと思うのですが、その凄さについては、明日書きます。

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受信: 2006年11月 6日 (月) 18時49分

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導入部分かなり読むのが辛かった。もしかしてずっとこんな調子で 最後まで行くのかと心配したりしました。だけど物語がやっと動き出した辺りから続きが気になってかなりの長いページ数を楽に読み進める事ができました。 主人公は実は京極堂らしいんですけど物語の中心人物、関口君がうつ病って設定でちょっと 彼の思考・言動とかに共感してました。 ... [続きを読む]

受信: 2007年2月 8日 (木) 21時25分

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